
2024年10月から、フィリピンのマニラで日本人が銃を使った強盗に遭う事件が立て続けに起こっています。
現在公表されているだけで合計23件! 怖すぎィ…
日本人が被害に遭った拳銃強盗の発生箇所
現在公表されている 日本人が銃で脅され、所有物を強奪 または 発砲を受けて死傷した事件 の発生箇所を以下の地図にプロットしました。
黄色く塗っているところはよく危ないと言われているエリア(マラテ・エルミタ・トンド・キアポ)、青く塗っているところは日本人が特に多く住んでいるエリア(マカティ・BGC)です。
日本人が被害に遭った拳銃強盗の事件一覧
在フィリピン日本大使館・外務省海外安全ホームページ・その他ニュースサイト等の情報をもとに時系列にまとめています。改めて言います。これ全部、犯人が銃を用いて強盗を行った事案です。
{ちなみに大使館情報やニュースサイトでは "拳銃のようなもの" という表現が使われていますが、どこでも普通に銃が買えてしまうここフィリピンにおいて、悪い奴が持っている "拳銃のようなもの" は十中八九、ガチで銃だと考えられるので、本サイトでは銃という表記で統一します。)
| 【01】 2024/10/19 土 21:00 頃 @ Makati, Greenbelt | 歩道上で3人組に銃で脅されバッグを奪われた。 |
| 【02】 2024/10/27 日 22:00 頃 @ Makati, Central Square | タクシー待ちをしていたところ、5人組に銃で脅されバッグを奪われた。 |
| 【03】 2024/10/31 木 19:00 頃 @ Parañaque, New Seaside Driver | 路上でバイクで近づいてきた2人組にバッグを奪われそうになり、抵抗したところ、銃のグリップ部で殴られた。 |
| 【04】 2024/11/02 土 21:00 頃 @ Makati, Bel-Air, Jupiter | 2人で歩いていたところ、バイク2台が接近し、降りてきた複数名に銃で脅された。抵抗したところ、銃のグリップ部で殴られ、バッグを奪われた。 |
| 【05】 2024/11/07 月 20:45 頃 @ Makati, Chino Roces Ave. | 2人で歩いていたところ、3人組に襲われた。1人は抵抗の末バッグを引きちぎられ、1人は銃を向けられバッグを奪われた。 |
| 【06】 2024/11/11 月 21:00 頃 @ Makati, Antonio Arnaiz Ave. | 5人で歩いていたところ、待ち伏せしていた3人組に襲われた。抵抗したところ、銃のグリップ部で殴られ、バッグを奪われた。 |
| 【07】 2024/11/14 木 22:30 頃 @ Makati, Central Square | 2人で歩いていたところ、5人組に襲われた。1人は銃を向けられたので走って逃げた。もう1人はネックレスを引きちぎられたので大声を出したところ、犯人が逃走。 |
| 【08】 2024/11/24 木 20:15 頃 @ Makati, Paseo de Roxas | 車から降りたところ、3人組に銃で脅されバッグとスマホを奪われた。 |
| 【09】 2024/12/20 金 1:20 頃 @ Makati, Jazz Mall | フィリピン人と共に2人で歩いていたところ、2人組に銃で脅されバッグを奪われた。 |
| 【10】 2024/12/29 日 未明 @ Ermita, Mabini St. | 2人で歩いていたところ、2人組に襲われた。現金等を奪われ、1人は抵抗したところ銃で胸や腕を撃たれて負傷した。被害者は病院で手当を受け、容態は安定。 |
| 【11】 2025/01/18 土 20:40 頃 @ Malate, Del Pilar St. | 外国人2人と共に3人で歩いていたところ、待ち伏せしていた2人組に銃で脅されバッグを奪われた。 |
| 【12】 2025年/03/21 金 1:30 頃 @ Makati, Ayala Triangle | 2人で歩いていたところ、2人組に銃で脅されバッグを奪われた。 |
| 【13】 2025/04/05 土 23:30 頃 @ Makati, Yakal | 路上で4人組に銃で脅されバッグを奪われた。 |
| 【14】 2025/04/13 日 15:15 頃 @ BGC, 9th Ave., 34~35 St. | 2人で歩いていたところ、2人組に襲われた。銃で脅され、1人はカバンを奪われた。もう1人は躊躇していたところ銃のグリップ部で殴られ、バッグを奪われた。 |
| 【15】 2025/04/30 水 21:30 頃 @ Makati, Finlandia | 路上でバイクで近づいてきた2人組にバッグを奪われた。犯人が落としたバッグを拾い逃げようとしたところ、背後から銃で腕を撃たれ負傷した。再び銃を突きつけられバッグを奪われた。 |
| 【16】 2025/05/04 日 夕刻 @ Makati, Antonia Arnaiz Ave. | 日本料理店(IZAKAYA KOJIRO)に2人組が押し入り、銃で脅しながら客から現金等を奪った。 |
| 【17】 2025/05/09 金 20:20 頃 @ Makati, L.P. Leviste St. | 飲食店から外に出たところ、バイクで近づいてきた2人組に銃で脅されウエストポーチを奪われた。スマホは渡さない素振りを見せたところ、銃を頭に突きつけられ、スマホも奪われた。 |
| 【18】 2025/06/27 金 18:20 頃 @ Pasay, Roxas Boulevard | 路上で後ろから突然首元に銃を突きつけられ、バッグを奪われた。 |
| 【19】 2025/07/09 水 2:00 頃 @ Makati, J. P. Rizal St. | 路上で後ろから近づいてきた犯人にバッグを掴まれ、抵抗したところ、殴られてバッグを奪われた。待機していた仲間と逃げようとした犯人を追いかけたところ、犯人は発砲して逃げた。(被害者には当たらず) |
| 【20】 2025/07/11 金 18:00 頃 @ Alabang, Dotcom Dr. | 2人で歩いていたところ、2人組に銃で脅され、被害者のうち1人がバッグを奪われた。 |
| 【21】 2025/08/15 金 22:40 頃 @ Malate, Malvar St. | 2人でタクシーから降りた直後、後ろから近づいてきた男らに頭を撃たれ両名とも死亡。被害者を殺害した男とタクシーに同乗していた男は逮捕され「日本人に依頼された」と供述。被害者を撃った男とは別に現場から逃走したもう1人の犯人は行方不明。 |
| 【22】 2025/09/03 水 22:40 頃 @ BGC, 25th St., 10th Ave. | 4人で歩いていたところ、2人組に銃で脅され被害者のうち2名がバッグを奪われた。 |
| 【23】 2025/09/04 木 0:15 頃 @ Makati, Bel-Air, Jupiter | 2人で歩いていたところ、後ろから近づいてきた犯人に銃で脅されバッグを奪われた。 |
SNSを見る限り、ここに載っているものとは別に同じような被害に遭ったと発信している方もいらっしゃるので、公表されていないだけでまだまだ被害者はいるだろうなと思っています。
【21】番は、犯行時の動画や報道を見る限り、明らかに最初からターゲットに目をつけて犯行に及んだ事件でしょうが、その他の事件は、見る限りすべて無差別に狙われている印象です。
どういう場所で日本人が襲われているか
昔から治安が悪い地域として有名なのが、マラテ(Malate)・エルミタ(Ermita)・トンド(Tondo)・キアポ(Quiapo)。マニラの西海岸部周辺のエリアですね。この辺は、皆が口を揃えて「基本近づいちゃだめ。特に夜に出歩くとマジで何されるかわからん。」的なことを言っています。
マカティ
それらのエリアを差し置いて、ここのところ銃を用いた強盗事件が発生しまくっているのが、フィリピンを代表するビジネス・金融の中心地、マカティ(Makati)です。
もともとマカティは、「フィリピンの中でも比較的治安が良いところ」として知られているところで、日本人を始め多くの外国人が住んでいます。特に中心業務地区(Makati Central Business District、通称: Makati CBD)、そして北東部に位置しているロックウェル(RockWell)が日本人に人気なエリアです。
言い方を変えれば、ターゲットとなりうる日本人が多い地域であり、犯人側も明らかにそこを狙っているはずです。事件の発生箇所を見る限り、日本人が行きがちなレストラン(居酒屋)が多くあるエリアや、日本人がよく泊まるホテルの近くあたりに特に集中しているので、強盗犯は初めから日本人を狙って徘徊していると見て間違いないでしょう。
BGC
それからBGC(Bonifacio Global City)。かつて軍の駐屯地だった土地を1990年代以降に再開発して誕生した新しい都市で、近代的な都市計画に基づき整備され、道路や歩道も広く、高いビルが立ち並び、謎のイケてるアートがいたるところに点在するエリアです。ルールも厳格で、警備員も多く配置されていることもあり、フィリピンの中で一番治安の良いところとして知られています。日本人学校もBGCにあるので、特に家族連れの方はBGCに住んでいることが多いですね。
ここでも日本人が銃で襲われたと聞いたときはけっこう衝撃的でした。
特に上記の【14】番。2025年4月13日、日曜日の真っ昼間、しかもそこそこの大通りでやられています。 ここ、僕自身も幾度となく歩いたことありますし、何より「ここでいきなり銃で脅されるとかさすがにないだろ」的なロケーションなんですよね…
BGCでもこういう事件が起こっている以上、フィリピンで安全といえるエリアなんてもうどこにもないんじゃないか。そう思う今日このごろです。
なぜフィリピンで日本人が狙われるのか
それはもう獲物としては最高においしいからでしょう。
この記事に載せている事件に限らず、日本人が多額の現金やパスポート、スマホを盗られたという話は本当に本当に本当によく聞きます。
近年、経済が発展してきているとはいえ、フィリピンでは未だ平均月給は 約15,000~20,000ペソ(約4~5万円)。そして令和の時代になってもやたら現金主義な人の多い日本人。実際僕が見てきた限りでも、観光やら出張やらでフィリピンを訪れる人、けっこう皆さん財布に何万円も入れて行動しちゃってるんですよね… そりゃ狙われますって。
あとスマホ。日本人の皆さん、iPhone大好きですよね?世界全体ではAndroidユーザーの方が圧倒的に多い中、日本では過半数がiPhoneを使っています。それも2、3年で買い替える人も多く、最新機種を使ってる人も全然珍しくないですよね。
ここフィリピンでは、割とデカい会社に努めている人でも、若い人はだいたい安いAndroidスマホ、iPhoneでも4、5年くらい型落ちの中古のものを使っています。僕の周りだと最新機種を使ってるのはそれなりの役職についている人、けっこう年配の人ぐらいですね。
日本人をターゲットにするだけで高確率で最新機種のiPhoneが手に入る考えると、そりゃあ強盗犯にとっては魅力的なはずです。
強盗犯に銃で襲われたときの正しい対処
言うまでもないことですが、なるべく強盗の被害に遭わないよう、可能な限り対策をしておくことも重要です。
しかしどんなに気をつけていても、襲われるときは襲われます。いざ銃を向けられてしまったとき、パニクって変なことをしてしまわないよう、あらかじめどう行動すべきか、しっかり頭に入れておきましょう。
絶対に抵抗しない、モノはすべて諦める
強盗事件一覧を見てもらえるとわかると思いますが、強盗犯に対し抵抗したり、荷物を取り返そうとしたりすると、奴らは躊躇なく撃ってきます。
逆に抵抗せず、強盗犯の言うことに従ってさえいれば、少なくとも暴行を受ける確率はぐっと下がります。悔しいでしょうが、身につけているものは諦めましょう。「My wallet is here.」とでも言って、手を軽く上げ、抵抗はしませんよアピールをしつつ、自分のポケットなりカバンなりを指さしましょう。
犯人が去り、安全を確保したあとに警察へ連絡
まずは 911 に電話し警察を呼びましょう。怪我をしていて救急車を要請する場合もこの番号でOKです。
スマホを奪われて連絡手段がない場合は、周りの人、近くのショッピングモール、泊まっているホテルの受付などを頼りましょう。
「警察に連絡したところで無意味。犯人が捕まるとは思えない。」なんてことも思うかもしれませんが、警察への連絡も必要不可欠です。これはもちろん強盗犯の逮捕に繋げるため、というのもあるのですが、どちらかというと警察が発行してくれるレポート(紛失届みたいなもの)を入手することが重要です。
所持品を盗られてしまったときにそれを保険でカバーする場合、パスポートを再発行する場合(詳細は下記)など、そのレポートのコピーが必要になりますので、手間は掛かりますが
大使館にも報告、特にパスポートが盗られてしまったときは必須
パスポートを失ってしまった場合、当然ですがそのままでは日本へ帰国できなくなるので、大使館へ連絡し、パスポート再発行や帰国のための渡航書(一時的なパスポートの代わり)発行の手続きを進めてもらいましょう。
また、被害に遭ってしまった方本人にとってはとてもつらい出来事ですが、その被害情報は、他の多くの日本人にとって非常に有益な注意喚起に繋がります。どこで何に気をつけるべきなのかを知ることで、より対策を取りやすくなることでしょう。また、大使館を通じてフィリピン警察へより強固な警戒態勢をとってもらうよう要請してもらうことにも繋がるかもしれません。
未来の被害者を一人でも減らせられるよう、情報は積極的に共有しましょう。
連絡先は以下の通りです。
問い合わせ窓口
- 在フィリピン日本国大使館(代表):8551-5710
- 領事事務:8834-7508
- 邦人援護ホットライン(24時間対応):8551-5786
ちなみに、警察へどう届け出を出せばいいかわからないとか、そもそも何をどうしていいのかすらよくわからない、みたいな状況でも色々アドバイスしていただけるようなので、困ったら大使館に連絡してみましょう。
クレジットカードが盗られてしまったときはすぐに無効化
財布を奪われてしまった際、おそらくクレジットカードも強盗犯の手にわたってしまっていることでしょう。使われてしまう前に、カードを無効化することが重要です。
各カード会社が海外からでも利用可能なカード紛失・盗難受付デスク的なものを用意しているはずですので、すぐに連絡できるようあらかじめ連絡先を調べておきましょう。これは強盗に限らず、スリやスキミングなど、カードが不正利用される恐れのある状況すべてにおいて必要な対策です。
最悪不正に使われてしまった場合でも、大抵の場合はクレジットカード会社で補償してくれますが、後々の手続きが面倒なことになる可能性もあるので、なるべく早めにカードを無効化しておきましょう。